制作ディレクターによるLANDSPACE全曲解説 制作ディレクターによるLANDSPACE全曲解説です。
LiSA本人があまりインタビューなどでは触れないレコーディングでのエピソード、少々マニアックなLiSA楽曲の生まれるまでの制作秘話などを中心にまとめてみました!常に笑顔の絶えないLiSA現場の側面をお伝えできたら幸いです。これを読んでからアルバムを聴き直すと新たな発見があるかも!?

  1. 【Canvas boy×Palette girl】
アルバム1曲目。イントロの数秒に命かけてます。(笑)
これから始まるLiSAのアルバムのワクワク感とパワフルさ、ポップさを最大限に詰め込んだバランスに。
カラフルなおもちゃがたくさん詰まった箱をひっくり返したようなサウンドを目指しました。       
実はLiSA、この曲の唄録りを2回しています。最初、ポップな可愛さを重視して唄ってみたのですが、後日、
もう少し力強く唄ってみたいとの要望があり。本人のコダワリデス。結果、可愛さと力強さを兼ねそろえた
素晴らしいVocalが収録できました。
  2. 【コズミックジェットコースター】
アルバム2曲目ということを決定して制作していく中で、「宇宙空間を駆け抜ける」イメージの歌詞をLiSA
が書いてきたのでイントロに宇宙を連想する音を追加しました。イントロはみんなを乗せたジェットコースターが
徐々に登っていくイメージです。高まります。
LiSAのVocalにも曲を通してうっすらとエコーをかけてふわりと宇宙を演出していたりもします。
最後のサビで「MAX!!」と追っかける掛け声が入っていますが、これは曲の最後の仕上げの作業の段階でLiSA
が思いついて入れたい!となったので、真夜中だったにも関わらず、スタッフ一同でテンション上げて挑んだ
という渾身の叫びです(笑)是非ライブで皆さんも叫んでください!
  3. 【crossing field】
シングル発売当初のオンエア重視の音質から、よりロックでパワフルな方向にミックス(各楽器の音色や音量のバランス
を調整して最終的に皆さんが聴ける状態に仕上げる作業)をやり直しました。
ソードアートオンラインというアニメの持つクールでかつ爽快なイメージに合わせたバランスであったのが
シングルミックス、今回はよりロックなLiSAミックスといった感じでしょうか?
ドラム、ギターはよりラウドに。特に間奏部分はベースがグイグイと動きまくる感じが良く聞こえるようになってます。
是非シングルバージョンと聞き比べてみてください!
  4. 【DOCTOR】
今回LiSAというアーティストの最も尖った一面を表現する側面を持つ1曲。レコーディングではベースの高間さんに
「普段ではアリエナイ」くらい尖った音質で弾いて頂き、楽曲のヒステリックな感じを演出して頂きました。
ドラムは今回のアルバムでも最も多数の楽曲でドラムを演奏してくださっている石井さん。この曲でも暴れまわってます!
いつも愛を持って挑んでくださり、最高のサウンドに仕上げようと、多数のスネアドラムを用意してどれが楽曲に最良かと
一緒に考えてくださいます。
  5. 【僕の言葉で】
アルバムの中で最も早い時期にレコーディングを開始した楽曲でしたが、いろいろな理由で完成したのは終盤でした。
この曲、歌詞に関しては一度全面的な書き直しを行うという難産になりました。当初、もう少し抽象的な表現で書かれていたの
ですが、今のありのままのLiSAを素直にぶつけて書いてみようということになり、白紙から再スタート。
結果見事、期待に応える素晴らしい歌詞を書きあげてくれました!
  6. 【best day,best way】
実はこの曲、ものすごい数のギターが重ねられています。サビではなんと最大5種類のギター(しかもそれぞれが2回ずつ
弾いて重ねられているので10本のギター!!!)が同時になっているのです。
ライブではCD音源の印象を壊さないように、たった2人のギタリストがその5種類のギターのパートを工夫して
演奏しているので違和感なく盛り上がれるというわけです。
  7. 【ヒトリワラッテ】
メインのメロディの難解さもさることながら、サビのハーモニーの難解さが尋常では無く、wowakaさんの脳内に響き渡る
メロディラインを1行ずつ解読しつつ唄いきっていくLiSAが印象的でした。
ハーモニーを重ねて行く時にいつも感じる事ですが、LiSAは他のシンガーの方と比較してもかなりメロディを身体に入れて
即座に唄う事を得意としており、そんな彼女だからこそなし得るレコーディングでした。
突き刺さるようなサウンドにしたかったのでLiSAのVocalも歪ませるエフェクト処理をしてあります。
  8. 【say my nameの片想い】
ライブでみんなが楽しくクラップできるように、バンドのみんなでスタジオで手拍子を録音していたのですが、あまりに
楽しくなり予定外に曲の最後でシャウト!(笑)当初大笑いしていたのですが、何度も繰り返し聴いているうちに採用に。(笑)
しっかり手拍子の場所を覚えてライブでは一緒にパフォーマンスしてください。最後のシャウトも忘れずに!
イントロの「うっ!あっ!う、あっ!」というLiSAの声の後ろで、かすかに深呼吸するLiSAがいることにはお気づきですか?
これ、本人的には「デートでドキドキしている女の子が落ち着く為にしている深呼吸」なんだそうです。(笑)
うっすらなので頑張って聞いてみてくださいね。
  9. 【うそつきの涙】
清水葉子さんによるアコギ一本弾き語りで紡ぎだされた切ないメロディを、たくさんの人の愛で形にした楽曲です。
アレンジャーのakkinさんとLiSA、スタッフで何度も何度も、細かいリズムパターンまで練り上げました。
古屋さんの作詞が上がり、いよいよレコーディングが開始されたファーストテイクでLiSAが目を潤ませていたのが印象的。
浦さんによるエンディングのアコーディオンソロも一発で文句なしのOK!
美しいストリングスが重ねられ、LiSAが唄を乗せて完成した時のみんなの笑顔が素敵でした。
  10. 【逆光オーケストラ】
曲の疾走感のキメ手となっているギターとピアノのフレーズがあまりに難しすぎてレコーディングで大苦戦。(苦笑)
名手、弥吉さんが何度もやり直しながらギターを弾き切った時のガッツポーズでスタジオが和みました。(笑)
磯崎さんによる最高にポップでキャッチーなメロディがソリッドなアレンジにより切れ味をました仕上がりです。
  11. 【traumerei】
今のLiSAにできるアニメOPとしての可能性を最大限にぶつけた1曲。制作時のキーワードは「西洋と東洋の融合」
「教会」。それを実現したのが少し「和」の要素を感じるメロディにパイプオルガンと声楽隊の組み合わせでした。
レコーディングでは池田さん夫妻に何度も何度も多重録音をして頂き、大勢の声楽隊が教会で唄っているような状態を
再現して頂きました。
ちなみに2番のサビの直前に鳴る不思議なノイズ?のような音色はakkinさんによるギターなのです。
たくさんのエフェクターをつなげて実験でもしているような状態で、まるでギターとは思えないような不思議サウンド
を産み出してくれました。
  12. 【winding road】
アルバムを締めくくる曲として制作が開始されました。本人作曲で、彼女の場合なんだか適当な英語風な歌詞で
唄われた状態のデモが届けられるのですが、いい意味で当初の予想を裏切る仕上がりとなりました。
というのもシンプルに弾き語りに近いような切ない曲に仕上げようかとも思っていたのですが、
とはいえなにかヒトひねりした形にしたいとakkinさんに伝えたところ、最初に戻ってきた状態がこの最終形
を匂わせるアレンジだったので、「だったら!」と思いっきりドラマチックにしてしまおう!と。
その後、歌詞があがってきた時には少し重たいテーマで驚きましたが、アレンジにもうまくハマリ、
結果2013年のLiSAの姿を写すLANDSPACEを締めくくるにふさわしい楽曲になりました。